ハーバルビタミン(エキナセア)
欧米で注目のハーブ エキナセア
エキナセアとは
『エキナセアは、北米原産の菊科の植物です。エキナセアには全部で9種類あるのですが、エキナセア・プルプレア、エキナセア・アングスティフォリア、エキナセア・パリダの3種のみがサプリメントとして使用されています。』植物の地上部と根の両方が様々な形状で使用されます。 エキナセアには、アルキルアミド、フェノール酸、ロスマリン酸など、さまざまな活性化合物が含まれており、エキナセアとその化合物は、炎症の軽減、免疫力の向上、血糖値の低下など、多くの健康上の利点に関連しているという研究結果がでています。
エキナセアは別名パープルコーンフラワーとも呼ばれます。ネイティブアメリカンは何世紀にもわたってさまざまな病気を治療するためにエキナセアを使用してきました。今日では、風邪、インフルエンザなどに対する薬草としてよく知られています。
エキナセアの歴史
他の薬用植物と比較して、エキナセア使用の歴史は比較的近年であると言われています。
18世紀頃、エキナセアはアメリカ先住民であるネイティブインディアンの間で、傷や火傷、虫刺されに対する外用、そして歯痛や喉痛などの感染症、痛み、咳、胃けいれん、ヘビの咬傷時など多岐に渡り用いられていました。その後、白人系入植者たちもこの薬用植物の魅力に引き付けられていき、1880年頃、Meyerの血液浄化剤として知られる最初のエキナセア製剤が市場に登場しました。20世紀初頭には、エキナセアは米国で最もよく用いられる薬草となります。ドイツでは1939年頃からエキナセアの商業的栽培が始まり、1950年頃にはA.フォーゲルがスイスに導入し栽培を始めました。化学者や薬理学者はエキナセアに興味を持ち、多糖類、エキナコシド、シコール酸、アルキルアミドなどの成分が明らかになっていきます。そして、こうした抽出物は免疫賦活作用を示したため、主に風邪、インフルエンザの予防や治療に使用されるようになりました。
エキナセアの期待される働き
- 抗酸化作用
- 免疫を高める作用
- 血糖値降下作用
- 抗炎症作用
- 抗アレルギー作用
- 癌細胞増殖抑制作用
など
抗酸化物質が豊富なエキナセア
エキナセアには、抗酸化物質が豊富に含まれています。 抗酸化物質は、糖尿病など慢性疾患に関連しているもので、酸化ストレスから体を守るのに役立つものです。 エキナセアが保有する抗酸化物質には、フラボノイド、シコール酸、ロスマリン酸などが知られており、 これらの抗酸化物質は、葉と比較して植物の花や根からの抽出物に多く含まれているようです。 さらにエキナセアの植物に含まれるアルキルアミドは抗酸化活性をさらに高める働きを持つと言われています。
エキナセアの免疫を高める働き
エキナセアは免疫系に対する有益な効果でよく知られています。 古くからの研究でもエキナセアが感染症やウイルスとの戦いにおける免疫系をサポートして、病気からの回復を早めるのに役立つ可能性がわかっていました。これがエキナセアが風邪の予防や治療によく使われる理由の1つです。
2007年に行われた研究では、複数種のエキナセアが自然免疫と獲得免疫の両方を増強
させることが示唆されています。この研究では広く用いられている3種のエキナセア種、エキナセア・アングスティフォリア、エキナセア・パリダ、エキナセア・プルプレアからのアルコール抽出物について免疫調節特性を調査しました。ヒツジ赤血球(sRBC)に対する抗体反応は、3種すべてのエキナセア種抽出物によって等しく有意に増加しました。さらにエキナセア処理は、マイトジェン刺激を受けた脾臓細胞によるサイトカイン産生を有意に変化させました。3種全ての抽出物は、インターフェロンα産生を有意に増加させましたが、腫瘍壊死因子-γおよびインターロイキン(IL)-1βの放出は阻害しました。
またT細胞(Treg)は、in vivoでの免疫調節に重要な役割を果たすことが知られています。2014年に発表された論文によると、抗原提示細胞のフィーダー機能の亢進に伴うTregの数と機能の低下がエキナセア・プルプレアによる免疫機能の増強に寄与している可能性を示唆しています。
エキナセアによる血糖値降下
血糖値が高いと、2型糖尿病や心臓病といった慢性疾患のリスクが高まる可能性があります。
エキナセアには血糖値を下げるのに役立つ可能性があることが示唆されています。
2017年にリリースされたin vitro研究では、エキナセアに含まれるクロロゲン酸とカフェイン酸がα-アミラーゼ阻害活性を、シコール酸がα-グルコシダーゼ阻害活性を示しましたことを明らかにしています。
また、2021年の研究ではエキナセア・プルプレアのエタノール抽出物は、糖尿病ラットの雄性生殖機能障害を改善する事が示されています。
ライフスタイルの変化に伴い、糖尿病の有病率は年々増加しています。糖尿病による男性の生殖機能障害は、主に酸化ストレスの増加によるもので、これは精子の損傷や不妊症を引き起こします。この研究ではエキナセア・プルプレアのエタノール抽出物を約4週間投与すると、高血糖とインスリン抵抗性が改善することが示されました。さらに、エキナセア・プルプレアのエタノール抽出物は精子の運動性を高め、精子の形態とミトコンドリア膜の電位を保護し、テストステロン合成酵素のタンパク質も保護しました。
糖尿病(DM)は代謝障害疾患と考えられていますが、この疾患はインリン分泌の不足やその働きの異常、またはその両方が原因で発生する可能性があります。1型糖尿病と2型糖尿病が糖尿病疾患の一般的なタイプです。1型糖尿病は自己免疫介在性膵β細胞がインスリン欠乏症を引き起こすのに対し、2型糖尿病は末梢性インスリン抵抗性を特徴としています。糖尿病疾患では高血糖が観察されます。以前の研究では糖尿病は、ステロイド産生性急性調節(StAR)タンパク質、チトクロームP450酵素(CYP11A1)、17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)などのいくつかのステロイド産生関連遺伝子も減少させ、精子形成と精子の特性を損なうことがなうことが報告されています。
エキナセアの抗炎症作用
炎症は体の自然な自己防衛反応です。しかし、不必要に長引く炎症は慢性疾患や他の健康リスクを高める危険性があります。
エキナセアは過剰な炎症を軽減するのに役立つことをいくつかの研究が示しています。
たとえば、前章の抗糖尿病作用のところで触れた2021年に行われた糖尿病ラットを用いた同研究では、エキナセア・プルプレア・エタノール抽出物は抗酸化作用とともに抗炎症作用を示すことが報告されています。糖尿病疾患では高血糖が観察され、酸化ストレスの上昇とインターロイキン-1βや腫瘍壊死因子-αなどの炎症性サイトカインレベルを引き起こします。またToll様受容体4(TLR4)は、核因子(NF)-κBのリン酸化と、一酸化窒素(NO)、インターロイキン(IL)-1β、腫瘍壊死因子(TNF)-αなどの炎症性サイトカインの放出につながる自然免疫応答において重要な役割を果たします。この研究結果では精子における、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオン抗酸化物質が増加し、NO、IL-1β、TNF-αなどの炎症性サイトカインが減少し、またTLR4および下流のリン酸化NF-κB p65の精巣タンパク質含有量も減少したことが示されています。エキナセア・プルプレア・エタノール抽出物は、TLR4経路を介して炎症性サイトカインの産生を減少させ、糖尿病誘発性男性不妊症を改善する可能性が示唆されました。
抗アレルギー作用
肥満細胞から放出される化学メディエーターであるヒスタミンとロイコトリエンは、花粉症などのI型アレルギーにおいて重要な役割を果たします。エキナセア・プルプレア(EP)花弁、葉、茎の水抽出物の、肥満細胞株放出化学メディエーターに対する阻害活性を評価した研究によると、花弁および葉の抽出物は、刺激細胞からのヒスタミン放出に対して有意な抑制効果を示し、すべての抽出物は、刺激細胞におけるLTB4産生を有意に抑制しました。そうしたことからEP花弁抽出物にはアレルギー症状の緩和効果がある可能性が示唆されました。
また2017年には、エキナセア・プルプレア由来のアルキルアミドが強力な抗炎症作用を示し、それに関連してアトピー性湿疹の臨床症状を緩和するといった研究が発表されています。
不安感を和らげる可能性も浮上?
近年、エキナセア植物には不安を和らげる可能性が浮上しています。
2010年にはクロルジアゼポキシドとの比較研究もおこなわれました。
がんからの保護作用の可能性?
がんは細胞の無秩序な増殖を伴う病気ですが、いくつかの研究がエキナセア抽出物のがん細胞の増殖抑制の働きを示唆しています。
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